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Bid to 'Protect Assets' Slowed Reactor Fight 「海水注入すれば廃炉」東電: 経営判断中心の思惑懸念による海水注入の遅れ - 経済産業委員会 第3号

- Bid to 'Protect Assets' Slowed Reactor Fight 「資産保護」優先で海水注入遅れる

東電は13日になるまで海水注入を開始しなかった。 事故対応に携わった複数の関係者によると、東電が海水注入を渋ったのは、原発施設への同社の長年の投資が無駄になるのを懸念したためだという。原子炉を恒久的に稼働不能にしてしまうおそれのある海水は、今では原発事故対応の柱となっている。
元東電役員で、今回の原発事故対応に加わっている公式諮問機関、日本原子力委員会の尾本彰委員は、東電が海水注入を「ためらったのは、資産を守ろうとしたため」だとしている。尾本氏によると、東電と政府関係者のどちらにも、塩水を使用したくない大きな理由があったという。当初、核燃料棒はまだ冷却水に漬かっていてダメージを受けておらず、同氏によると、「圧力容器に海水を注入すると、容器が二度と使えなくなるため、海水注入をためらったのも無理はない」 (by WSJ)  March 21, 2011

Crucial efforts to tame Japan's crippled nuclear plant were delayed by concerns over damaging valuable power assets and by initial passivity on the part of the government, people familiar with the situation said, offering new insight into the management of the crisis.

Meanwhile, a regulator who was inspecting the Fukushima Daiichi nuclear-power complex when the quake hit offered The Wall Street Journal one of the first eyewitness accounts of the havoc at the site, describing how the temblor took down all communications in the area, greatly complicating the response.

The plant's operator—Tokyo Electric Power Co., or Tepco—considered using seawater from the nearby coast to cool one of its six reactors at least as early as last Saturday morning, the day after the quake struck. But it didn't do so until that evening, after the prime minister ordered it following an explosion at the facility. Tepco didn't begin using seawater at other reactors until Sunday...



原発事故直後の動き
《3月11日》
14時46分 地震発生
15時42分 第1原発1、2、3号機・全電源喪失(経産相に通報=以下同じ)
16時45分、18時08分 同1号機など注水不能、原子炉冷却材漏えい
19時03分 第1原発に原子力緊急事態宣言
21時23分 第1原発半径3キロ圏避難、10キロ圏屋内退避指示
22時00分 原子力安全・保安院「2号機炉心露出か燃料棒被覆管破損」の予測発表
《3月12日》
1時20分 第1原発1号機・格納容器圧力異常上昇
1時30分 枝野官房長官がベント(蒸気排出)指示
2時30分ごろ 首相が福島原発視察を決定
5時54分 第2原発1、2号機・圧力抑制機能喪失
6時00分すぎ 枝野官房長官が東電に「どうしてベントがすすんでいないのか」
6時14分 菅首相が原発視察にヘリ出発
★首相、安全保安委員長が不在に
6時50分 経産相が東電に第1原発1、2号機原子炉格納容器内の圧力抑制を命令
7時45分 第2原発に原子力緊急事態宣言。避難・屋内退避指示
★10時間以上東電に命令せず
10時17分 1号機ベント開始
10時47分 首相がヘリで官邸帰着
15時36分 1号機で水蒸気爆発
17時16分 第1原発・敷地境界線放射線量異常上昇
17時39分 第2原発10キロ圏内住民に避難指示
18時25分 第1原発20キロ圏内避難指示
20時05分 経産相が東電に海水注入などを命令
20時20分 1号機に海水注入開始






田中委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 地震と津波というのは、これは間違いなく自然災害です。しかし、全電源喪失と炉心溶融という問題については、実は私は、二〇〇五年の質問主意書以降、二〇〇六年の国会質問なども通じて、ずっとこの問題を取り上げてきたんです。対策をとらなきゃだめだということを言ってきたんです。

最初、寺坂原子力安全・保安院長に伺っておきますが、昨年五月二十六日の当委員会で、私の質問に対して、全電源喪失で炉心溶融は論理的には考え得ると答弁しておられました。今回の原発事故というのは、論理的な話じゃなくて、現実のものとなったのではありませんか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

昨年五月、吉井委員からの御質問に対しまして今御指摘のような答弁をしたことは事実でございます。

原子力発電所におきましては、複数の非常用ディーゼル発電機の起動、あるいは直流電源の活用、他号機からの電源の融通、そういった多重性や多様性を持った対応を図ることによりまして、重要な事故に至ることのないような、そういう対策がなされてきていたわけでございます。そのような意味におきまして、それぞれの要素につきまして可能性が大きくはない、そういう認識のもとに昨年の答弁を申し上げたところでございます。

現実に、ただいま御指摘のような事態が発生をしたわけでございまして、そのような意味におきまして、私の当時の認識におきまして甘さがあったことは深く反省をしているところでございます。

吉井委員 私は、次に鈴木原子力研究開発機構理事長に伺っておきたいんです。

実は、二〇〇六年、ちょうどあなたが原子力安全委員長であった当時の三月一日の予算委員会で、私は、津波の押し波と引き波、これにより機器冷却系が取水不能になる問題なども取り上げ、同年十月二十七日の質問では、地震による鉄塔倒壊で外部電源喪失となり、内部電源が事故に遭ってディーゼル発電機もバッテリーも働かなくなるという問題で、鈴木委員長のこの点での予測を質問しました。

この全電源喪失の場合の原子炉停止後の機器冷却ができなくなる問題についての質問に対して、鈴木委員長は、同じバックアップを多重に持つ、ディーゼル発電機だけでなく直流も持つ、それぞれ複数機持つ、これを設計段階で確認していると答えられたわけです。

シビアアクシデントマネジメントの考えはなかったんですけれども、答弁ではこう言っておられました。シビアアクシデントマネジメント、非常事態における管理で、日本の場合には、同じサイトに複数のプラント、つまり同じ原発敷地内に幾つも原発があるので、ほかのプラントに融通するとか、どこかが故障して全電源喪失になっても、ほかの原発から電力を融通してもらえるんだ、こういうお話でした。非常に多角的な対応を今事業者に求めていると。耐震指針を改定した、さらに基準を超えるような大きな地震が来たときにはどうなるか、事業者に、評価してください、数字で確認するなどしてくださいという、これが方針だと答弁されました。

全電源喪失というのは、要するに、他の外部電源や、同じ原発敷地内の他の原発からの融通や、その原発自身に設置してあるディーゼル発電機とバッテリーの組み合わせにより、設計上ちゃんとしてある、大丈夫だというお話だったわけです。

三月十一日に原発が停止した後、福島第一では、機器冷却系を動かすすべての電源、これは喪失したんじゃありませんか。

鈴木参考人 お答え申し上げます。

それは、私が原子力安全委員会の委員長を仰せつかっていたときのお話ではございますが、そのとおりお答えしたと思います。

現実にこのような事故が起きておりまして、私は、原子力に長年携わっております者として、国民の皆様方に大変な御心配、御心労、御迷惑をおかけしていることに対しまして大変申しわけないと思っておりますし、私自身、痛恨のきわみでございます。

今先生お尋ねの件につきまして、私は考え方はそのとおりだと思っておりますが、結局は、具体的にそれに対してどのような手を打つかということ、つまり、多重性、多様性について、実際、設備対応ないしその運転管理に当たって具体的にどのような考え方をとるかというところが、私は、今後大いにこの事故を反省して考えなきゃいけないことだ、そのように思っております。

例えば、他の号機からの融通について言えば、今回のように、一から四につきましては、すべて同じような設計のものを、DG、ディーゼル発電機を同じような設置にしてあったのでは、これは本当の意味での多重性にならないことは明らかでありまして、そういうことについて我々はよく反省しなきゃいけない、そのように考えております。

吉井委員 二〇〇二年五月に、東京電力のアクシデントマネジメント報告書というのが当時出ておりましたが、この中でも、要するに、DGとバッテリーがあるんだということと、それから外部電源が喪失しても同じサイト内の他の原発から融通してもらえるんだということを東電自身が書いていたわけです。

しかし、そうじゃない、全電源喪失の場合にきちんと対応できることが必要なんだということを私は言ったんですが、その全電源喪失の可能性の検討と、それへの対策をとらせないまま来てしまったということ、そして原発は大丈夫だと判断した、今も少しお話がありましたけれども、当時の答弁とか考えというものは、やはりこれは間違っていたのではないかと思いますが、どうですか。

鈴木参考人 お答え申し上げます。

先生おっしゃるように、このような事故が現実に発生した以上、過去のことが正しかったということはないんだと思います。ないんだと思いますが、考え方として、やはり多重性、多様性が一番重要であることは、これは変わりがないと思います。

私、先ほど申し上げましたように、それをどのように実際に設計であるとか実際のアクションにつなげるか。例えば、今回も、五号機、六号機においては、DGの一つが、私の聞いているところでは、いわゆるガス冷却ですね、空冷のものだったということで、それが辛うじて生きていたために何とか、一から四に比べますと五から六は状況が随分変わっているということがございます。これは一種の多様性だということで、そういうことを今後十分に検討していかないといけない、そのように考えております。

吉井委員 ほかで動いたのが一つだけあったといったって、融通できないわけですから、それは全然違っておったということをやはりきちんと考えなきゃいけないと思います。

班目委員長に次に伺いますが、今回の原発災害について、東京電力社長も菅総理も、想定外のことだったと発言をしておりました。

NRCは三十年前に実験して検討しておりましたし、各国の過酷事故対策、シビアアクシデントマネジメントの中では、全電源喪失というのは考えていたんじゃありませんか。

班目参考人 先生のおっしゃるとおり、各国ではこの問題をかなり注視していたのは事実でございます。

吉井委員 そこで、続いて伺っておきたいんですけれども、JNESの報告書、昨年の十月に、全電源喪失の対策と。これによると、〇・六時間後には燃料が落下する、一・八時間後には圧力容器が破損する、十六・五時間後には格納容器の過温による破損。この破損の仕方はいろいろあります、爆発で破損する場合もあれば、いろいろな形があり得ることですけれども、しかし、それはJNESがちゃんと昨年の十月に出していたと思うんですよね。それに対してどのように対策を指示してこられたのか、伺っておきたいと思います。

班目参考人 原子力安全委員会としましては、この全電源喪失ということに対して事態を非常に重く思っております。

それで、こういう場合のアクシデントマネジメント対策というのを事業者にみずからきちんと定めさせており、それを保安院を通じて我々も伺っております。したがって、それに沿ってきちんとやるようにという指示を私どもの方としては進言してきたということでございます。

吉井委員 シビアアクシデントマネジメントをちゃんとやらせる。実際に事故があったときに、シビアアクシデント、今度はマニュアルですね、それに基づいてきちんと対応するということをさせなきゃいけないと思うんですよ。それをやれば全電源喪失という事態は、これはまず起こらないようにさせなきゃいけないんですが、起こった場合にも、直ちに緊急に対応するというマニュアルがないと全くお話にならないと思うんです。

班目委員長に伺っておきたいのは、地震や津波があろうがなかろうが、原発では、シビアアクシデントマネジメントとして全電源喪失を考えて、いかなる場合にも今回のような事態を起こさせないというのが本来の国の原子力安全行政であり、原子力安全委員会の使命ではないかと思うんですが、委員長、どうですか。

班目参考人 まさにおっしゃるとおりだと思います。

したがいまして、今回の事故を深く反省し、先生のおっしゃるとおり、二度とこのようなことが起こらないように指導してまいりたいと思っております。

吉井委員 ほかの原発で同じようなことが次々と起こると大変な話になってまいりますが。

海江田大臣、そこで伺っておきたいんですが、想定外という言葉は、実はこれまでから原発の事故が起こるたびに結構よく使われているんです。二〇〇七年七月十六日の新潟県中越沖地震によって、柏崎刈羽原発は、約三千カ所を超える事故、故障、破損箇所が生じました。このときも、あれは想定外だったというのが最初に聞かれた言葉です。

地震、津波。津波については、今度の場合は押し波の方の被害が大きいんですが、東北の地震、津波ですと、引き波で冷却水がとれないという問題も出てくるんです。これは二〇〇五年、六年に私は国会で取り上げたわけですが、何度も指摘してきたんです。

そこで、海江田大臣に伺っておきたいのは、三月十一日の、地震から一時間後の十五時四十二分には全電源喪失による炉心溶融の可能性を認めながら、なぜ東京電力に早い時点で指導あるいは炉規制法に基づく命令をしなかったのか、あるいは、指導したんだけれども東京電力は指示に従わなかったのか、これはどういうことになっているんですか。

海江田国務大臣 想定外ということは、先生おっしゃるように、私もなるべく使わないようにしております。既に、そういう想定外ということを過去に言って、そしてその想定を超えるものが現実の問題として起こったわけでございますから、その意味では使うべきではないというふうに思っております。

その上で、東京電力の最初の、初期の動きでございますが、今、私の記憶の中にございますのは、最初はマグニチュード八・八とかいう報道がございましたけれども、大変激烈な強い地震が起きましたから、当然、私は、原子力は平気かということで関心を持ちまして、そして、東京電力は、その時点ではすべて停止をしたという報告がございました。そして、むしろ、最初に私のもとに東京電力から入ってきました情報というのは、しかし、大規模な停電が生じていると。これはちょうど夕方でございました。まさにこれからこの首都圏でも夕げの支度などが始まるころでありましたけれども、大規模な停電が発生をしたということがまず入ってまいりまして、原子炉の方はきちっと停止をしたという報告がありましたので、安心をしました。

しかし、その後の事態というのは委員御指摘のとおりで、私どもがいよいよこれは原子力の状況が深刻であるというのは、やはり夕刻、私もすぐ官邸に行きまして、そのまま危機センターの中に入っていきまして、夕刻の八時を回ったころからだろうと記憶をしております。ただ、これは今、私の記憶に基づいての発言でございますので、後でしっかりと精査をしていかなければいけないと思っておりますが、夕刻になって、それからまさに日付が変わる直前、そこから本当にいよいよ、ベントの問題あるいは海水の注入の問題、こういうことをやらなければいけないということで、そうした指示は、日をまたいででありますが、深夜、まずベントの指示を出したところでございます。

吉井委員 地震が起こって一時間後に、既に全電源喪失による炉心溶融の可能性を認めていたわけですよ。

さっきもJNESの報告を御紹介しましたが、〇・六時間後には燃料落下、一・八時間後には圧力容器の破損、十六・五時間後には格納容器の過温破損、そういう可能性もありという、これはJNESの方でちゃんと報告書をまとめていたわけですね。そうすると、ただ原発がとまったから安心というものじゃないんですね。自然崩壊熱を取り去らない限りどんどんどんどん温度が上がっていくのは当たり前の話ですから。

そうすると、直ちに、早い時点で、東京電力に指導するなり、あるいは炉規制法に基づく必要な命令を下すなりしたのかということと、それから東京電力はそれに従わなかったのかということを今伺っているんです。そのことだけなんです。簡潔で結構です。

海江田国務大臣 法律に基づく命令というのは、日をまたいでのことでございます。

吉井委員 ですから、その時点ではやっていなかったということです。

班目委員長は御専門ですから伺っておきたいんですけれども、マグニチュード九の地震で、まず、原発の機器の傷みはどういう状況なのか。それから、津波によるDGなどの健全性がどうなっているのか。また、燃料タンクや配管は大丈夫なのかどうかとか、機器冷却系の熱交換器と配管は大丈夫かとか、そもそも制御棒が一〇〇%入ったのか。地震等で途中でとまっていますと、一応はとまった形になっているんだけれども、部分的には臨界状態があって中性子が出てくるとかあり得るわけですね。そういう基礎的なデータというものが、地震の後、班目委員長のもとにちゃんと届けられたのかどうか。それから、現在、これらについて、そういうデータはきちんと届いているのかどうか、これを伺っておきます。

班目参考人 当日の私の行動を申し上げます。

当日、夕方になって原子力災害対策本部が立ち上がりまして、緊急参集いたしました。その前、若干時間があったのでございますが、その間に、少なくても制御棒は全部挿入されて炉はとまったという報告は受けてございます。

それから、その他の情報についてでございますけれども、その後は、私、官邸の方にちょっと詰めてございまして、やや情報から遠ざかってしまった。しかしながら、少なくても最低限の知識として、このような場合においても、バッテリーさえ生きていれば、一号だったらアイソレーションコンデンサー、二号、三号だったらRCICというのが生きていれば、しばらくの間はもつという知識は持ち合わせてございました。

吉井委員 一応制御棒は入ったという話、これは入ったから一応とまったんですよ。それはよくわかるんです。しかし、巨大地震によって、一〇〇%、一本でも二本でも入り切らなかったら、部分的には臨界も残ることはあり得るんですよね。だから、中性子が測定されたという話も出てきたのはそういうことだろうと思うんです。

原子炉停止後の核燃料の自然崩壊熱による温度上昇を避けるために機器冷却系が働かなくてはならないわけですけれども、これが、地震でまず送電鉄塔が破損した、これは保安院からいただいた資料で、倒壊したということですから、外部電源がだめ。その上、内部電源を構成するDGが津波で破損した。何とかいけたバッテリーも、三月十一日の夜の十時ごろには大体ダウンの方向へと。バッテリーは時間が来たらだめになりますから。外部から持ち込んだ電源車からの電源接続もなかなかうまくいかない。

だから、機器冷却系が機能しないということになって、当日の二十二時だったと思うんですが、二十二時五十分には炉心が露出する、二十三時五十分に燃料被覆管が破損する、そして二十四時五十分には燃料熔融の可能性ありと保安院は予測したと発表されております。

班目委員長と寺坂原子力安全・保安院長は、これは深刻な事態だと考えて危機感を持って臨まれたのか、まあ何とかなると楽観的なものもお持ちだったのかを伺っておきたいと思います。

班目参考人 まことに申しわけないんですが、JNESによる解析結果というのは当時持ち合わせてございませんでした。したがって、時間的なことで、どれぐらい緊急を要しているかは当時把握してございませんでした。

しかしながら、アイソレーションコンデンサーとかRCIC、最初にRCIC、二号機がとまっていると聞いたときには、もうかなりびっくりして跳び上がったぐらいなのでございますが、危機的な状況にあるということはよく認識しているので、直ちにアクシデントマネジメント対策として定められたプロセスに移るようにというふうに進言したところでございます。

寺坂政府参考人 全電源喪失状態になりまして、非常に深刻な状態に至っているという認識は持っておりました。

一方で、アイソレーションコンデンサーあるいはRCIC、そういったものがまだ機能している、そういうこともございまして、その間にしっかりと対応を重ねていかなければならないという意識のもとに行動をしたわけでございますけれども、結果におきましてそこが届かなかったという点は深く感じておるところでございます。

吉井委員 こういう場合、要するに、蒸気を抜いて圧力を下げることと、圧力が高かったらもともと冷却水が入らないわけですけれども、外から冷却水を注水して温度を下げるという、とりあえずは、まずこの二つのことが大事になりますね。

大体一千度Cを超えますと、水とジルコニウムの化学反応が始まって、発熱反応ですから、どんどんジルコニウムの被覆管が溶け出すというのは当然のことでありますし、同時にそれは水素が発生するということになってくるわけですから、炉心が一部でも冷却水の上に出てしまうと、さらにそれが反応が激しくなってきて水素が出る。

ですから、スタックから放出すること、また、建屋内の水素に関しては、建屋の屋根に設置してあるはず。もっとも、これはGEの最初のものですからまだなかったのかもしれませんが、まずその水素ガス抜き用の弁をあけること、あるいは、建屋内に窒素ガスを入れて空気をパージする、置きかえるということが大事なことだと思うんです。

いずれにしても、圧力を下げることと、直ちに、真水が一番いいんですが、真水が不足すれば海水を注入してでも炉心を冷やさなければならない、炉心の露出を防がなくてはならないということ、このことを東電幹部が断行するか、政府が東電に対して断行させるか。最も厳しい局面だったんですね、この時間帯というのは。

当日の午後十時から翌日にかけての数時間というのは非常に厳しい局面だったと思うんですが、班目委員長はこのときどういう判断を下して、政府や東京電力に対して、意見具申といいますか、何をやりなさいということを言われたのかを伺っておきます。

班目参考人 とにかく真っ先に考えたことは、燃料を溶融させないこと。ですから、燃料を冷やさなきゃいけない、これをアクシデントマネジメント対策どおりに行えればそれは防げるはずであるということで、とにかくそれをしなさい、ついては、格納容器を過圧破損させないためにもベンティングはもちろん必要ですというふうに申し上げたと記憶しております。

吉井委員 一番大事なその局面で、東京電力が圧力を下げるための作業に入ることと、炉心が露出しないように冷却水を注入するということをやるかやらないかという非常に大事な局面だったわけですよね、そのときは。

私は、委員長が本部へ詰められて、そして意見を述べられたその時期というのは、最も厳しい局面で、厳しい判断をしなきゃいけなかったときだと思うんですが、もう一度確認しておきます。

班目参考人 それが例えば何時何分であったかとかいうことはちょっとさすがに全く覚えていないので申し上げられませんが、まさにそういう一番厳しい時期にそのような進言をしているというふうに記憶してございます。

吉井委員 一番大事な局面で、原子力安全委員会委員長班目さんと政府の対策本部長である菅総理の二人は、その時期に本部に四時間半いなくなったんですね。これは、班目委員長、間違いないですね。

班目参考人 はい。未明にヘリコプターで現地に参ったことは確かでございます。

吉井委員 大事な時期に、判断をする責任者と、意見を具申するといいますか、専門的に助言しなきゃいけない方が二人ともいなかったというのは、これは重大な問題だというふうに思うんです。

それで、地震と津波は自然災害なんですが、しかし、全電源喪失による炉心溶融の危険を私が五年前から何度も指摘したのに、対策をとらない、耳を傾けてこなかったというのは、一つの重大な問題だと思うんです。

二つ目に、最も厳しい判断を要する局面で、その対策を断行させるということをやり切らないで炉心溶融を招いてしまった。大気も海水も土壌も放射能汚染させ、多くの人々を長期にわたる避難民の状態に置いて、遠く離れた地域の農業者や漁業者の経営を壊してしまった、首都圏の乳幼児の飲み水まで危険にさらした。

この点で私は海江田大臣に伺っておくんですが、今回の原発事故というのは、これは人災じゃないですか。

海江田国務大臣 人災かどうかということをお答えする前に、先ほど私の記憶でお答えをいたしましたけれども、十一日十四時四十六分に地震発生で、同日の十九時〇三分に原子力緊急事態を宣言して原子力災害対策本部を設置したということでございますから、この十九時〇三分の段階では、もちろん原子炉が大変なことになっているという認識は持っていたということでございます。

その上で、今、班目委員長を初めとした方々がいなかったということでありますが、これは私の方には、その前の段階で、既に、まずベントだ、ベントをやって、これは、委員一番お詳しいわけでございます、ウエットベントですから、もちろん放射性の物質が全く外へ出ないというわけではありませんが、水を通しますので、それが低減されたものが出るということで、その指示を既に発出して、そして、あと避難命令、退避と避難の指示をしたところでありまして、その意味では、そういう指示は行って、その後、やはり現地を見なければいけないということで現地に行ったということでございます。

それから、最後になりましたけれども、人災かどうかということでございますが、これは今まさに、この委員会での議論も通じて、それから、もちろん資料の保全というのはしっかり命じてございますから、そういう資料をもとにして、一体何が原因で、そしてどういう経過をたどってこういう事故になったのかということをはっきり明らかにしていきたいと思っております。

吉井委員 検証は検証としてやるにしても、今回の原発事故は、事前に手を打てば、ああいう事態にならずに済んでいるんですよ。その点では、自然災害であった地震、津波以降の十数時間というのは極めて緊張した重大な時間であったのに、きちんと対応しなかったことは人災だという自覚をやはり持たなきゃいけないというふうに私は思います。

それで、枝野長官に伺っておきます。

十二日の一時三十分に、首相と経済産業大臣の了解を得て、ベントを急ぐように指示したとされておりますが、圧力を抜かないと圧力容器の破壊につながる、同時に、圧力が高いと冷却水を原子炉に入れることができないという事態、すなわち炉心溶融がさらに危険な事態に進み得るということを認識されて、それで、総理大臣または官房長官は、はっきり東京電力に対して、圧力容器内の蒸気を下げろ、海水を含めて冷却水を注入しろと言われたのかどうか。経産大臣も、当然、原災法だけじゃなくて、炉規制法に基づいて命令したのかどうか。このことが問われてくるんですが、枝野長官にどう対応されたかを伺います。

枝野国務大臣 震災発生の当日は、まずは震災そのものに対する救命、救難というオペレーション、それから原子力発電所の方のオペレーション、二つの対応を政府として行っておりました。

海江田経済産業大臣は専ら原子力発電所の対応について取り組んでいただきましたが、私は官房長官という立場ですので両方のことについて、震災直接のものについては松本防災大臣を軸にしてということで、私はその両方を見ておりましたので、正確な時間的やりとりは、私自身の記憶では正確ではございませんが、この間、今御指摘いただきましたような経緯の中で、電源の回復に向けた努力、それから電源が回復しないという状況の中でベントによって気圧を下げるという努力、そして水を注入するという努力、こうした努力が、少なくとも今御指摘をいただいた原子力緊急事態宣言が出された以降、順次なされていた。それに、海江田大臣を中心に、時には総理も加わった中で、そうした指示といいますか、東京電力に対して、そうしたことを進めていくようにと。

そして、東京電力の側からは、そうした努力を進めているという報告がなされながら、しかし実際には、電源は回復をしない、ベントもスタートする段階に至らない、水を入れるということがなされないという状況が一定の時間続いておりまして、なぜなのかということについて、海江田大臣あるいは総理が繰り返し指摘をして、急がなければいけないではないかということを、遅くとも午前一時半の段階で行っていたということでございます。

吉井委員 一時半にそれを言われて、東京電力がしなかったら、やらせ切らなきゃいけないんですよ。炉心溶融になって今日の事態を迎えているわけですね。だから、全電源喪失の後のこの事態についてきちんとしなきゃいけないときに、総理と委員長が四時間半空白の時間をつくっただけじゃなしに、その前日の十時に判断してから翌日の七時四十五分までは、一応、今官房長官がおっしゃったように、いろいろな指示を出したりとか、法律に基づく対応ですね。しかし、十二日の七時四十五分から十二日の十七時十六分まで、空白が約十時間あるんですね。それで、十二日の二十時〇五分になって、ようやく炉規制法に基づく命令を大臣は出しているんですよ。

だから、これだけ深刻な問題だということが明らかになっているのに、きちんとした対応をしなかった責任というものは、私は極めて大きいものがあると。東京電力が言うことを聞かなかったのは悪いんですよ。それをまたやらせなきゃいけないんですよ。その対応が今日の重大な事態を招いているということをきちんと認識しておかなきゃいけないということを申しておきたいと思うんです。

枝野官房長官に、次に積極的な提案の方も一つしておきたいと思うんです。

毎日、放射能を帯びた水や水蒸気、空気が放出されております。外国の協力も大事なんですが、実は全国で、実験物理や実験化学、流体力学や伝熱工学をやってきた多くの研究者、あるいは原子炉設計に携わったOBの技術者を含めてたくさんいるわけですよ。情報不足で、提言したくともできない、受け付けてもらえるようなところがないというのが今声として上がっております。

ですから、これは、研究者番号を伝えていただいて意見を聞かせてもらえるような受付部門をつくって、やはり日本の英知を総結集して、何としても、今の原発の深刻な状態から、速やかに冷却を進め、そして放射能の放出を食いとめる、そのためにあらゆる英知を結集する体制を考えるべきだと思うんですよ。これは枝野官房長官に伺っておきます。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、この状況を収束させるためには、原子炉あるいは原子力関連の専門家の皆さんにとどまらず、さまざまな専門家の皆さんの英知を結集していくことが必要であるというふうに思っております。

この間も、原子力安全・保安院や原子力安全委員会にとどまらず、さまざまな専門家の皆さんにお知恵をかりて進めてきているところでございますが、御提言のとおり、いろいろな御意見あるいは知見をお持ちでありながら、どこにそれを伝えたらいいのかということを御存じない方もいらっしゃるというふうには思いますので、そうした方のお知恵をおかりするやり方については、今の御提言を踏まえて関係当局と相談をしたいと思っております。

吉井委員 これは研究者番号を伝えてもらったらできる話なんです。

それで、官房長官にお聞きしようと思ったら、大体時間が来ましたので置いておきますけれども、なぜこういう深刻な事態になったのかということですね。

私は、ここには、国も電力も原子力安全委員会もみんな、原発安全神話を信仰してしまって、原発利益共同体を築いて、情報公開しないで、国民の安全より企業利益第一に走ったというところがあると思うんです。アメリカで、TMIの後、弁護士さんが長になられて調査委員会を立ち上げて、安全への思い込みこそがスリーマイル島事故の最大の原因であったという報告書をまとめておりますが、思い込みと秘密主義こそが今回の重大な事態をもたらした要因だと思います。

最後に、田中委員長、私は、東京電力会長の出席を求めて、福島原発事故の解明と、放射能汚染による国民生活の危機、計画停電など電気事業法に係る問題の委員会としての集中的な審議を行うように、参考人として会長の出席を求めて、やることをお願いしたいと思うんですが、どうですか。

田中委員長 理事会で検討させていただきます。

吉井委員 それでは、時間が参りましたので。

この間求めてまいりました基本的なデータをやはり全国民に公表する、公開することこそが最大の対応策ですから、このことを重ねて訴えて、時間が参りましたので質問を終わります。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

午後零時十六分散会


平成二十三年四月十三日(水曜日)

荒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 きょうは、せんだっての経産委員会で枝野長官にお聞きしたことに引き続いて、原子力災害の問題について伺いたいと思います。

最初に政府参考人の方に伺っておきますが、今回、東京電力は低レベル放射性の汚染水を大量に放出いたしました。この場合、すべての核種について、汚染水の核種は何なのか、それぞれの放射線量と半減期は幾らなのかということを明らかにすることが必要だと思うんです。

しかし、実際には、沃素131とセシウム134、セシウム137については公表されているんですが、ずっとこの間私も提出を求めておいたんですけれども、コバルト58、モリブデン99、テルル132、バリウム140とか、バリウム140を検出しますと、これは溶融した核燃料がどれぐらい出ているかということにかかわってくるわけですね。それから、ストロンチウム90とか、これらは溶融の可能性はどれぐらいのものであったかということがわかってくるわけなんですが、ランタン140も含めて、まず、すべての核種について全面的にきちんと明らかにするということが必要なんですが、保安院の方はこれらについて今発表しておられますか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

東京電力からの発表に関しましては、今現在は、委員御指摘のとおり、沃素131とセシウムの二つでございますけれども、その他の核種に関しましても、モニタリングの結果、その後の核種分析等を踏まえまして、分析、発表をされることになると考えてございます。

少し時間がかかる点は御理解願いたいと思います。

吉井委員 簡単に低レベルだからといって放出しているんですけれども、そもそも何が放出されているのか、さっぱり国民に公開されていない、東京電力の言いなり、私はこれはとんでもない話だと思うんです。

実は、一九九六年五月の国会でロンドン条約にかかわる法案を審議したときに、外務委員会と科学技術委員会の連合審査を行うことになりました。このときの五月十六日の科学技術委員会で、私は、スリーマイル島原発事故で、原発から放射能汚染水が河川に流され、それが海洋に汚染が広がったという問題を取り上げたんです。

改めて伺っておきますが、ロンドン条約の目的では、陸上発生の廃棄物の投棄による海洋汚染の防止を示し、附属書1の第四項により、放射性廃棄物の投棄禁止が定められていると思うんです。なお、この審査をする前には、一九九三年十一月二日に原子力委員会の方で、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として、海洋投棄については選択肢としないとしていると思うんですが、これは原子力保安院長に確認しておきます。

寺坂政府参考人 御指摘のように、本件に関する条約といたしまして国連海洋法条約があるわけでございますけれども、いずれの国も、海洋汚染を防止する一般的義務を負っていると承知をしてございます。

放射性物質による汚染についての明文の規定はございませんけれども、放射性物質による汚染も当然防止する必要があるわけでございまして、このような一般的な義務のもとに、いずれの国も、あらゆる発生源からの海洋汚染の防止、軽減、規制するために実行可能な最善の手段を用い、自国の能力に応じて、海洋汚染の発生源からの放出をできる限り最小とするための措置をとることとされているわけでございます。

今回の措置自体、国際法上の義務との関係で問題となるものではないというふうに認識はしておりますけれども、拡散低減のための措置と並びまして、近隣国に対する丁寧な説明、国際社会に対する情報提供を一層丁寧に進めてまいりたいと考えてございます。

吉井委員 二〇〇五年の国会でも、原子炉規制法の改正のときに、当時の松永保安院長は、九三年ロンドン条約改正により、海洋投棄禁止の対象を、高レベルの廃棄物から低レベルを含めた放射性物質も含めて禁止なんだと、このことをちゃんと政府として方針をとっているわけなんです。

それで、私は、九六年五月十六日の科学技術委員会で、日本の原発において万一事故があっても、放射性物質の外部への流出、海洋汚染にならない対策は必要だということを主張しました。これに対して当時の宮林科学技術庁原子力安全局長は、原子炉規制法に基づき、多重防護の思想で、最近聞きなれた言葉ですね、多重防護の思想で厳格な安全審査をやっております、原発からの冷却材流出については、当然、安全審査の際にチェックしていると言っているんですよ。しかし、今回は、法律もあり、チェックしていると言っておったんだけれども、流出をやっているわけですね。

これは、高レベルであれ中レベルであれ低レベルであれ、すべての放射性物質の海洋投棄を禁止するという方針をとっているんです。そこで、官房長官に伺っておきますが、今回の東京電力のやっている措置は、ロンドン条約違反、原子炉規制法違反ということになってくるんじゃありませんか。

○枝野国務大臣 今回の低濃度の放射性排水の海洋排出は大変遺憾なことであるというふうに思っておりますし、また、その判断自体、大変厳しいものでございました。

ただ、御理解をいただいているとおり、原子力発電所からは直接、より高濃度の水が海に注ぎ込んでおりました。この濃度は、一立方センチ当たり五百四十万ベクレル程度の高濃度の水が海に直接注ぎ込んでおりました。これをとめ、なおかつ、これが建屋などに大量にたまっていて、ほうっておけば、いずれさらに、一たんとめてもこれがあふれ出すことが想定されるという状況でございました。

何らかの形でこれらの水をしっかりとプールするということについて対応しておりましたが、今回、排出せざるを得なかった施設、正確に申しますと、たまり水等、ここのところの、集中廃棄物処理施設をあけて高濃度の水をプールする場所を確保しないと、この五百四十万ベクレル・パー・立方センチの水が将来あふれ出る。現に漏れていたわけでありますけれども、同時に、その漏れをとめたとしてもさらにあふれ出る可能性が高いという状況の中で、約二十七万分の一と聞いておりますが、相対的に低い濃度の水を放出することによって高濃度の水の受け皿を確保する、相対的には影響の小さい方法を緊急避難的にとらざるを得なかったということで、今回の放出をやむを得ない措置と判断いたしました。

原子炉等規制法による対応としては、六十四条一項に基づく危険時の措置として、緊急避難として許されるものであるというふうに考えております。また、条約等の関係については、外務省の方から、当然望ましいことではないことではあるけれども、直接条約に違反するものではないという報告を受けております。

吉井委員 そもそも、今度流した低レベルと言っているのは、高レベルをそっちへ移すためと言っているが、高レベルと低レベル、どこが違うのかということをはっきりさせなきゃいけないんですよ。

低レベルのデータはないと言っているんです。低レベルに今はなっているというけれども、例えば放射性沃素の場合、これは半減期が八日間としますと、大体三カ月もたてばレベルがぐんと落ちるのは当たり前なんですよ。しかし、問題は、セシウムとかストロンチウムとか、どれぐらいのものが低レベルと称して流されてしまったかということが大問題なんですよ。私は原子炉規制法の今おっしゃった条項もよく知っていますけれども、それを理由にして簡単に出しちゃいけないんですよ。これはロンドン条約の違反なんですよ。

やはり大事なことは、私が一九九六年に科学技術委員会で指摘したように、例えば石油タンクだって、わかりやすい話ですが、これは今度壊れていますから話になりませんが、石油タンクだって第一の防油堤があるんです。タンクの油が仮に全部漏れたとしても、防油堤におさまる。第二次防油堤としては、海岸線に堤を設けて、絶対に海洋に原油が出ないようにする。そういう対策をとっているわけなんですよ。

ですから、今度の場合だって、低レベルだからといって簡単に捨てちゃならないんです。そういう対策をとってこなかったということは、やはり重大な問題ではありませんか。

枝野国務大臣 吉井委員からこの間御指摘をいただいておりますとおり、今回のような津波に対する対応を準備してこなかったこと、それから、今御指摘いただいたとおり、やむを得ず原子力発電所から放射性物質を含んだ水が出ることになっても、それが海洋中に拡散しないように準備、備えをしておくこと、こうしたことをあらかじめしておかなかったことは、これは適切な対応ではなかったと私も思っております。

今後こうしたことのないように、あらゆる原子力発電所についての対応を今しっかりと見直させているところでございます。

吉井委員 いずれにしても、今回の低レベルと称する廃棄物、中身は本当は、線量は仮に低いとしても、放射性核種によっては長期にわたって生物に被害を及ぼすようなものが放出されたということについては、これは私は明白にロンドン条約違反だと思います。こういうことは絶対許してはならないということを申し上げておきたいと思います。

次に、三月十二日の日に、原子力保安院は、消防庁長官に対して施設を冷却するための装備を持った消防隊を派遣してほしいと要請しております。それに基づいて、東京消防庁、仙台消防庁に、海水利用型消防放水システムを持つ部隊に緊急消防援助隊として派遣要請が行われて、官房長官は保安院に、保安院は消防庁にということで、消防庁は各自治体消防庁へ、あるいは消防局へ派遣要請しているわけですが、同時に、同じ十二日の日の十五時三十六分には福島第一原発の一号機で水素爆発があって、出動した消防車は途中で戻りなさいという指示が出ているんですね。

そもそも、まず最初に原子力安全・保安院が消防庁長官に対して施設冷却のために消防車の出動を依頼したのは、十二日の日の何時何分になるんですか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

正確な何時何分という時間についてはちょっと今持ち合わせてございませんけれども、私どもの方から消防庁の方へ御依頼を申し上げたことは事実でございます。

吉井委員 私は、そういう時系列についてはちゃんと持っておいてもらわぬと困ると思うんです。なぜそれが大事なのかといったら、つまり、圧力容器に真水を注入することができるのかできないのか、この判断ともかかわってくるんですよ。

それで、消防車が駆けつけて、消防車の力をかりて真水を入れるのか、海水を入れるのかという判断にかかわってくるんですが、改めて枝野長官に伺っておきますが、当初は、ECCSがだめになっても、圧力容器へ真水を注水するライン、そこには消火栓、消防配管も活用して真水を注入するということも最初は検討していたんじゃありませんか。

枝野国務大臣 正確かつ詳細なことについては経済産業省、保安院にお尋ねをいただければというふうに思いますが、早い段階から、つまり冷却がとまったという段階から、とにかくあらゆる手段を使って水を注ぎ込んで冷却を続けなければいけないということで、具体的に特定の手段に絞ってではなくて、注水の方法も含めて、さまざまなやり方を同時並行で、何なら一番早くできるのかということで作業を進めていただいていたというふうに認識をしております。

吉井委員 それでは、私もあらゆる手段で冷やさなきゃいけないと思うんですが、そのときに、本来、消火栓配管が原発の中にいっぱいあるんですよ、それが使える状態だったのか。地震の第一撃で、柏崎刈羽のときのように切断されてしまっておったのか。その状況はどのように把握しておられましたか。

寺坂政府参考人 消火栓の状況に関しましては、事態の推移の中で必ずしも十分な把握ができていない部分があったかと思いますけれども、消火栓は使用ができるというふうに私どもは考えてございました。

吉井委員 消火栓が使えるか使えないかということは、真水で注水できるのか、海水を使わなきゃだめなのかということにかかわってくる大事な要素なんですね。

東電の判断がどうも経営判断中心で、海水を注入すれば廃炉にしなきゃいけませんから、株主代表訴訟等で訴えられることを恐れているという個人的な思惑や東電の利益をどう守るかということが働いて、冷却が非常におくれたというふうに思うんですよ。

これは重大な問題だと思っているんですが、一方で、まず基礎的なデータをちゃんとつかまなきゃいけないんです。

この真水か海水かという問題もそうなんですが、原子炉基盤面だけでなくて、タービン建屋を初めとする各所に設置されていた地震計の示した振動データですね。
 どうも、いただいているデータを見ておりますと、針が振り切れてしまってよくわからないとか、非常に大きな規模の地震動で、後の津波の問題だけが中心になっておりますけれども、巨大な地震に備えるだけの原発じゃなかったと。第一撃で地震計の針も振り切れたり、データも出てこないようでは、最初から話にならないと思うんです。

中には、宮城県栗原市の震度七のところのデータで二千九百三十三ガルというのがあるというふうにも伺っているんです、これは私、今確認中なんですが。原発敷地内で最大を記録した振動数が幾らであったのか、針が振り切れてしまっておったらそもそもわからないんですけれども、何かわかっていますか。

寺坂政府参考人 現時点におきまして、基準地震動に対します加速度において、基準地震動を超えているものがあるということまでは確認できておりますけれども、それ以上の、周波数等の分析にはまだ至っておりません。できるだけそこはきちっとしなければいけないものだと承知してございます。

吉井委員 枝野長官にもお聞きいただいて大分感じてはると思うんですけれども、要するに、基礎的なデータがまだ何にも公開されていないんですよ。地震動も出ていない、低レベル放射性廃棄物の、流した汚染水の核種も濃度も何もわからない、そういう状態が続いているんです。

私は、なぜこういうことを取り上げるかといいますと、配管や格納容器あるいは圧力容器、バルブとか、その健全性が地震動のような基礎的なデータと物すごくかかわってくるんですよ。これが公開されていないものですから。
窒素封入で空気をパージしている格納容器の圧力が上がらないというのは、多分漏えいがあると思うんですよね。それから、圧力容器の下部から制御棒案内管や核計装案内管などが多数圧力容器に入っているわけですが、ここが放射能汚染水の漏えい箇所になっている可能性が十分あるわけですね。これは自然な見方なんです。

だから、破損箇所のデータが、どこがどうなっているのか、地震動を含めたそういう基礎的なデータを全部公開しないことには、学者、研究者もエンジニアも、みんな対策の協力のしようがないんですよ。なぜこれが出てこないのか。これは、東京電力が情報を出さないのか、政府が出させることができていないのか、データは出させているんだけれども政府が情報を公開しないのか、伺っておきます。

枝野国務大臣 政府としては、私から、まず行政機関、これは広い意味での行政機関である原子力安全委員会も含めて、持っているデータはすべて公表をする、あるいは、詳細にわたる部分については、お尋ねがあったらそれをお知らせするということをするように繰り返し指示をしてきているところでございます。また、東京電力に対しても、必要な情報は政府に対してしっかりと報告をするように、また、求めがあったら情報を提供するようにということを繰り返し申し上げてきております。

したがいまして、政府あるいは東京電力が持っていながら、お求めに応じて出していない資料があるとすれば、それは許されないことだというふうに思っております。データそのものがないとか、あるいはデータそのものの整理をするのに若干の時間がかかるということであれば、そのこともしっかりとお伝えをした上で、必ず、できるだけ早く、求めがあって、なおかつ持っているデータは公表させるように改めて指示をいたします。

吉井委員 これだけ危機の時代に、東京電力がぐちゃぐちゃ言ったら話にならぬと思うんですよ。だから、もう政府が乗り込んで指示してでも全部やらせ切る、ぐちゃぐちゃ言うようだったら、ぐちゃぐちゃ言う連中をほうり出してでもやるぐらいの構えを持たないと、今、国民の危機なんですよ、その危機に対応できないということを申し上げておきたいと思うんです。

官房長官に伺っておきたいのは、今回の大地震、津波、原発災害は、これは大規模災害に当たると思うんですが、認識を伺っておきます。

枝野国務大臣 まさに大規模な災害だと思っております。

吉井委員 情報収集衛星というのは、大事な目的に掲げているのは大規模災害への対応だと思うんです。これはちゃんとうたってあるんですが、この点は大臣も認識は一緒ですね。

枝野国務大臣 情報収集衛星は、今御指摘の点を含めて、幅広い目的のために保持しているものでございます。

吉井委員 情報収集衛星を利用している関係省庁というのは、内閣官房のほかに、外務省、防衛省、警察庁、公安調査庁、海上保安庁、国土地理院、経済産業省、消防庁なんですが、今回の大地震、津波、原発災害の対応に直接関係がある省庁にそれぞれ私は尋ねてみたんです。この省庁に聞いたら、情報収集衛星の画像の提供は受けているが、どのように活用しているかお答えできないというところから、提供を受けているかどうかさえ答えられない、活用しているかどうかも答えられないという省庁まであるんですよ。

それで、ここに地図を持ってきているんですけれども、これは国土地理院の方が当日の津波について出した資料なんです。これを見れば、女川原発についても、それから福島第一、第二原発についても、津波をかぶっている資料はちゃんと出ているんです、国土地理院の方は。ところが、内閣官房内閣情報調査室の方から出てきた網がけ資料では、津波をかぶっている女川原発の津波のデータがないんですよ。福島第一原発以降、関東に至るまで、津波の被害は全く出てこないんですよ。

これはだれが考えてもおかしいんじゃないですか。何のための情報収集衛星なんですか。こういう大規模災害に備えて役割を果たすのが、今まで八千億円を超える国民の税金を使ってきた情報収集衛星の本来の目的なんじゃないですか。

枝野国務大臣 情報収集衛星については、今回のような大災害等への対応もその目的としており、必要な情報を収集し、官邸を初め利用省庁に提供することになっております。

ただ、これは吉井先生とは御意見が違うかもしれませんが、情報収集衛星は一方で外交、防衛等の安全保障目的にも運用をしているものでありまして、その能力等について、あるいは運用の具体的な中身について公開することは、安全保障上の観点からできない性質をも帯びているものでございます。

したがいまして、個別具体的な運用実態については安全保障上の観点からお答えすることができませんが、利用できるものについてはしっかりと利用させていただいているということは申し上げたいと思います。

吉井委員 枝野さんにしては何か珍しく官僚の作文を読んでおられる感じなんですが。

内閣情報調査室は、災害を受けた場所について、今も示しました被災状況推定地図というのをつくっているんです。それで、関係行政機関に配付しているということに一応なっているんですが、まず、津波の被害を受けた箇所を地図上で、ここにあるように赤い線で引っ張っているんですけれども、地図の縮尺は約五万分の一です。

そもそも、津波をかぶって被害を受けたところで、こんな地図をもらったって何にもわからないんですよ。実際に現場で使うに当たっては、こんなものは間尺に合わない。衛星が撮影した画像というのは細かい部分まで映っているんですよ。最前線の現場で苦労しておられる消防の皆さんとか警察庁の皆さんとか、救援活動をするには、少なくとも、例えば千分の一とか五百分の一程度の地図でなければ役に立たないんです。しかも、被災地は道路も何にもないわけですから、とにかくこの衛星画像というのが重要なんです。

どこかの国やらの、ほかの情報を出せと言っているんじゃないんですよ。これだけの原発災害の起こっているところについて、だって、放射線を浴びながら消防活動をやっているんですよ。そういう人たちに、衛星写真でないとわからない映像を出して、ちゃんと提供して働けるようにするとともに、学者や研究者の皆さんにも、この間言いましたように、研究者番号を言っていただいたらその人には公開するとかして、いろいろな知恵を結集するということをやらなかったら、情報収集衛星なんというようなものは八千億円余りの全くのがらくたにすぎませんよ。

こんなことをやっておったらだめなんじゃないですか。もう一度伺います。

枝野国務大臣 本当に外交、防衛、安全保障上の観点から、具体的な能力あるいは具体的な運用についてお答えすることができない、こういう性格のものであるというふうに私も思っております。

したがいまして、具体的にどう使ったのか使わなかったのか云々についてはお答えできませんが、ただ、この間、私からは、こうした事態でありますので、外交、防衛、安全保障上の観点からという配慮は必要最小限のところにとどめて、使えるものについては最大限使うようにという趣旨のことは指示をいたしておりまして、その指示に基づいて、使えるものについては最大限使わせていただいているというふうに思っております。

吉井委員 まあ、どこかの国の独裁者か何かのしりを追っかけるぐらいに八千何百億円は使うんだけれども、これだけたくさんの国民がこれだけ大地震、津波で苦しんで、その上、まだ放射能汚染の見えない恐怖におびえているときに、その画像すら対策に使えないというのは本当に情けない話だと思うんです。

時事通信社の記事によりますと、JAXAの滝口防災利用システム室長は、被災地の実情は地元の人にしかわからない、自治体の人や研究者が画像を見れば役立つこともあると。
東工大の翠川三郎教授、地震工学の教授ですが、衛星軌道などは既に知られている話で、公開のデメリットもあるだろうが、この大震災で全く情報が出ないのは不思議だと。ネット上も、毎日観測できるからこそ情報収集衛星は有用だ、同じ条件で一日二回観測できる環境だからこそ災害復旧には必要なデータがとれるんだということが言われていますよ。

これを、一九九八年度から二〇〇九年度までの決算トータルに昨年度予算と補正予算、今年度予算を合わせますと、八千二百四十八億円使っているんですよ。これだけの大きな金を使って、情報収集衛星の目的は大規模災害対応なんだけれども、全く活用できていない。こんな予算の無駄遣いは全部ゼロにして、地元の復興予算に回したらどうですか。私は、こういうことこそやるべきだと思うんですが、官房長官の決意を求めて、質問を終わりにしたいと思います。

枝野国務大臣 これはまさに安全保障の観点でございますので、今、私の一存でどこまでどう申し上げていいのか難しいところはあるんですが、先ほど申しましたとおり、安全保障上の観点から、能力や運用実態の具体的なところを公にすることはできないというふうに思っておりますが、そうした配慮は必要最小限にとどめて最大限活用するようにという指示をいたしまして、それに基づいて、利用できるものについては最大限利用するようにという姿勢で対応をいたしておりますので、全く利用していないという状況ではないということは御理解をいただきたいというふうに思います。

また、御指摘の趣旨は非常に理解をいたしますので、現状の対応が外交、安全保障上の観点で本当に必要最小限の配慮であるのかどうか、それは改めて確認をしてみたいと思います。

吉井委員 時間が参りましたので終わりますけれども、この無駄遣いは、こういうものこそ事業仕分けをして、今回の被災地の復興支援に使うべきだと重ねて申し上げて、質問を終わります。


消費者問題に関する特別委員会第2号 
平成23年4月14日(木曜日)

生方委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 私は、経済産業委員会、内閣委員会に引き続いて、きょうは原子力安全委員長と原子力安全・保安院の院長に来ていただいての質問です。

食料等の放射能汚染を防止することと、それから消費者の安全を確保するというのが、この委員会の最大の役割の、今求められている大事な観点だというふうに思います。

そこで、最初に原子力安全・保安院長に伺っておきます。

ようやく、ずっと求めておりました、三月十一日から十二日、十三日、それ以降の原子炉圧力容器内の水位とか圧力とかのデータが出てまいりました。

福島第一原発一号機は、三月十二日八時三十六分から四月八日の午前六時までのもらっている記録で、ずっと核燃料棒が冷却水の上に出たままなんですね。露出したまま。四メートルの核燃料棒の中で、大体一・七メートルから一・八メートル、外へ出っ放し。同二号機では、三月十四日の午後五時以降、多いときは二・七メートルも露出していた。四メートルの核燃料棒のほとんどが出てしまっている。三号機は、三月十三日の前の記録は空白になってしまっているんですが、三月十三日の午前八時の三メートルなど、ほとんど露出という状態が続いておりますが、これが現在の状況なのか、伺っておきます。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

ただいま委員から御質問がございました燃料棒の露出の状況でございますが、もともと、電源喪失ということで、計測データについての信頼性についての疑義があるという点がございますけれども、今委員が御指摘になったような原子炉内の水位で申し上げますと、今現在は、一号機がマイナス千六百ミリメートル、二号機がマイナス千五百ミリメートル、それから三号機が、ちょっとここはまた二つ数字があるのでございますけれども、マイナス千七百五十ミリメートルとマイナス二千二百五十ミリメートルということでございますから、全体四千ミリメートルのうちその程度の燃料棒の露出があるというふうに、このデータを信頼するとすれば、そのような状況にあるというふうに考えてございます。

吉井委員 今、魚にしても野菜にしても土壌にしても、私たちは汚染の問題で非常に国民みんな不安に思っているわけですよ。やはり、現実がどうなっているのかというところから物事は始まると思うんです。

そこで、班目委員長に伺っておきたいんですが、三月十一日の午後二時四十六分に発災がありました。それから一時間後には、鉄塔倒壊などで全交流電源が失われた。これは東京電力から報告があり、その後、DGがだめになる。バッテリーは長くはもちませんから、だめになる。こういう状況の中で、班目委員長は何時ごろ、炉心の露出という問題が出てきて、炉心溶融ということを心配しなければいけないというふうにお考えになられたのか、伺います。

班目参考人 これは非常に難しい質問でございます。といいますのは、実は、東京電力の方からの情報が非常に限られた状況であったということでございます。

私自身は、少なくても、一号機でありましたらアイソレーションコンデンサーがある程度働いているので、しばらくはもつというふうに判断していたのは事実でございます。しかしながら、こういう場合の手続として定められているところの、といいますよりは、むしろ東京電力がみずから定めたアクシデントマネジメント対策というのがきちんと行われていないというのを知ったときには、相当心配し出した。(吉井委員「何時ですか」と呼ぶ)それは、正確にはわかりませんが、真夜中だったことは確かでございます。

吉井委員 それで、外部電源が失われた、内部電源が失われた。当然、機器冷却系は働きませんから燃料が露出する、炉心溶融が起こる、これはプロとして判断されるのは当たり前だと思うんです。

真夜中が何時なのかよくわからないんですが、判断して、総理、官房長官、経産大臣などに、これは極めて危険な状態だということを伝えられたのは何時ですか。

班目参考人 まずは、定められた手続どおり原子炉の圧力を下げて、最終的には格納容器からベントをしなきゃいけない、それをしないともっと大変なことになるということは、真夜中になる前、多分八時とか九時ぐらいから少なくても海江田経産大臣にはお伝えしていますし、これもはっきりわかりませんけれども、一時か二時には総理も含めて御理解いただいているというふうに認識してございます。

吉井委員 八時とか九時とか、かなり早い時期に炉心溶融の危険性を認識して提起されながら対策はおくれてしまったということが、結局今回の大規模な原発事故につながっているわけですから、私は責任は非常に重いと思うんです。

ただ、次に、起こってしまった段階で、では今度は何を明らかにするかという点では、さっきの水位が落ちていることからしても炉心溶融は明白なんですから、被覆管の中の沃素、クリプトン、キセノンなどの放射性ガスだけじゃなしに、核燃料の方から出てくる、セシウムとかストロンチウムが出てきますが、昨日の内閣委員会でも放射性物質の核種のデータが公開されなければならないということを私は訴えたわけです。

これは、大気中であれ土壌であれ海洋であれ、沃素131や132、セシウム134、136、137、コバルト58とかモリブデン99、テルル132、バリウム140、ランタン140などの、毎日のサンプリングした核種ごとのデータをやはり公開するということが大事だと思うんですが、原子力安全・保安院長として、いつからこういうデータを毎日公開していこうという立場で臨んでいかれるのか。今までは公開していないわけですから。一部公開したのがありましたが、途中で途切れていますからね。大体三つぐらいしか出していないから、いつから全部を、核種をきちんと調べて公開するようにするのか、そのお考えを伺っておきます。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

東京電力におきまして、モニタリングのデータを採取し、それの核種分析を随時行ってございます。当初のデータ収集、解析からさらに回数あるいは場所、ポイント数をふやすというようなことで日々作業を行ってございまして、その結果といたしまして、今委員御指摘のような、沃素、セシウム以外のものにつきましても解析を重ねております。

ただ、御理解いただきたいのは、沃素、セシウム以外のものにつきましての解析には多少時間を要する、そういうこともございますし、それから、この過程におきまして、多少データの読み方で混乱するといったような、そういったこともございまして、慎重を期すといいますか正確性を期すという意味で多少の時間を要したりすることがございますが、いずれにいたしましても、核種分析をした結果につきましては、その内容はきちんと公開をしていくということでございます。既に公開している部分もございますけれども、公開に努めていくというのは当然のことだと考えてございます。

吉井委員 私は、モニタリングするポイントもうんとふやしてこれを早くやらなきゃいけないと思うのは、昨日も、福島県内の土壌からストロンチウム89、90が出ていますね。89というのは、半減期が五十・五三日ですがベータ崩壊していく。90の方は、二十八・七四年という非常に長い半減期のものでベータ崩壊していくわけですね。それから海の方では、福島沖でコウナゴからセシウムが暫定基準の二十五倍、これもベータ崩壊するものですが、そういうのが次々と明らかになっているんです。

要するに、消費者にとって一番不安なのは、土壌とか大気中とか、それはまた雨になって降ってくれば飲料水にかかわってくるわけですが、あるいは海洋で、海産物を食するにしても、一体どうなっているのだ、これが一番心配な問題なんですよ。それをやはりきちんと調べて毎日毎日情報を公開していく、このことなしには国民の安全というのは得られないし、消費者行政というのは、やはりそういうところときちんと連携して消費者の安全を本当に確保するという立場で進めていかなきゃいけないと私は思うんです。

ところで、今回問題になっている海産物の被害にかかわる問題について、外務省に伺っておきます。

東京電力は、低レベル放射能汚染水を大量に放出しました。核種や線量率とか量とか、大体どれぐらいのものを出したんだということを聞いても、核種の分析等のデータはないわけですよ。だから、本当に低レベルなのか。放射性沃素のように、半減期が短いからレベルとしては下がっているんだけれども、ストロンチウムとかセシウムとか、大量に漏えいしているのかどうかそれもわからない、そういう状態なんですね。

きのう、内閣委員会で、低レベル放射性汚染物質の海洋投棄について、これはロンドン条約の附属書1と、原子力委員会の九三年の決定、それから九六年にこの条約の改正とかかわって原子炉規制法など国内法の整備もやっておりますが、その原子炉規制法違反だということを指摘したのに対して、枝野官房長官の方から、外務省の方から、当然望ましいことではないが、直接条約に違反するものではないという報告を受けているという答弁がありました。

外務省に伺っておきたいのは、ロンドン条約の附属書1の四項に、放射性廃棄物の投棄禁止が明記されているんですね。九三年の原子力委員会決定によっても、低レベル放射性廃棄物の処分方針について、海洋投棄はしないと。国会答弁でも、九三年ロンドン条約改正により、放射性物質に拡大されたと。廃棄物だけじゃないんですよ。放射性物質に拡大されているんです。そういうふうに答弁でもきちんとなっているんです。

直接違反しないという根拠は何なのか、また、それはいつ国際機関の承認を受けた判断なのか、これを伺っておきます。

大脇政府参考人 お答え申し上げます。

今回の低レベル放射性排水の放出につきましては、原子力安全・保安院によれば、より高い濃度の汚染水が海に漏出することを防ぐために……(吉井委員「いや、そんな話はわかっている」と呼ぶ)はい。

ロンドン議定書の規定ぶりでございますけれども、これは、陸上で発生した廃棄物等……(吉井委員「それは昔の話」と呼ぶ)はい。これは放射能も含みますけれども、船舶等から海洋へ処分する行為等を規制する条約でありまして、今回の原発施設からの放射性排水の海洋への放出は同議定書の対象にはならないというふうに認識をいたしております。

吉井委員 それはあなたの勝手な解釈、あなたの勝手な認識であって、ロンドン条約の附属書1にも、それから国内法に照らしてみても、これは間違いなんですよ。

違反だということをちゃんと言わなきゃいけないのに、官房長官の方に、いや大丈夫なんですと。そういういいかげんなことを言っているということは、私は、これはまた別な機会で改めて、外務委員会かどこかで、同僚議員からもしっかりやってもらおうと思うんですけれども、そんな認識では、日本は国際機関の承認も何にも受けないで、国内法にも違反して。

低レベルであっても放射性物質、放射性廃棄物じゃないですよ、放射性物質は海洋に出さないんだと。なぜこれが問題になったかといったら、スリーマイル島原発のときの河川から海へ流出したという経験など、国際的な経験を踏まえて決めているんですよ。外務省がそういう判断を示したとしたら、これはとんでもないことだということを言っておかなきゃならぬと思います。

それで、その結果として海洋汚染が今広がっているわけです。国際的にも大問題になっております。国際機関の承認とか、あるいは関係各国への通報等はちゃんとやったんですか。

大脇政府参考人 関係各国への通報でございますけれども、四日の三時半過ぎに、政府と東電の統合連絡本部にて執務しております我が省の職員から、この件の予定について連絡を受けました。それを受けて、四時からの外交団向けのブリーフィングの中で、一報を受けた旨を紹介いたしました。また、同日七時五分に全外交団向けに発出したメール及びファクスの中で、放出が同日夕刻に開始される旨を連絡いたしました。さらに、より詳細な事実関係を、五日及び六日の外交団向けブリーフィングにおきまして説明をいたしました。

しかしながら、事態の展開が急であったということもあり、当初は必ずしも十分な説明が行われなかったという側面もあるかと思われたところから、近隣国に対する個別の説明も行ってきているところであります。

いずれにしても、今回の件につきましては、政府としては拡散低減のための措置に努めるとともに、近隣国に対する丁寧な説明や国際社会に対する情報提供に引き続き意を用いてまいりたいというふうに考えております。

吉井委員 みんなやっちゃってから後づけの説明をしたってだめなんですよ、それは。国際機関の承認を受けたわけでもなく、何か記者団を集めてのレクみたいにやっているだけでは、全然これは本当に国際的にも通用する話じゃないと思うんです。

ところで、低レベルの放射性物質の海洋投棄、それに先立つ高レベル汚染の海上漏出などで、相当海洋汚染が広がっているわけです。水産庁と海上保安庁の調査を含めて、今度は文部科学省の方は、この放射性物質の拡散について、実はシミュレーションされたものも見せていただいておりますが、どのように資料を毎日公開し、そして魚介類等に被害が及ばないように対策をとっておられるのか、伺います。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

文部科学省におきましては、三月二十三日より、福島第一原子力発電所の沖合における海水中の放射能濃度等の測定を行う海域モニタリングを実施しております。モニタリングポイントの増設や、それから、あわせまして、海流等を観測する観測ブイの投入を行ってモニタリングの強化をしておるところでございます。

具体的には、独立行政法人の海洋研究開発機構の調査船で海水採取を行い、その後、独立行政法人日本原子力研究開発機構が分析した結果を文部科学省が公表しているところでございます。

吉井委員 こういうものは、関係省庁に船があるわけですから、もっと海洋汚染の状況についてきちんとモニタリングをやって、核種の分析もやって、そして、どれぐらい拡散していっているのか、魚介類にどういう影響が及ぶのか、これは私はもっときっちりやらなきゃならぬというふうに思います。

ところで、魚介類、海藻類などへの影響を絶つ対策を即時にやるとともに、やはり汚染と風評で漁業関係者は重大な打撃を受けておりますし、消費者の安全にとってもこれは重大な問題です。とりわけ津波によって漁港や漁船が大変な被害を受けて、放射能を帯びていなくても消費者のもとに魚介類がもともと届かない。

現場がどういう状況か、どのように復旧復興を進めていくかということを検討する上でも、実は、情報収集衛星の画像を被災地の漁協や漁業者や自治体関係者に提供して、どこから手をつけて一日も早く消費者のもとに魚介類が送れるようにするか、そのために、漁港、集荷場、海上の生けすやいかだとか、漁礁など海底の環境がどういう状況にあるか、早くわかることが大事だと思うんです。

実は、私が衛星画像で見ているのは、デジタルグローブ社の写真が中心なんですよ。日本の衛星画像を、実はこれは大規模防災対策という本来の目的を掲げているわけですから、これを自治体や漁業関係者に提供して、それで早く立ち直ってもらう、早く消費者に魚介類が届くようにする、そのために詳細なデータを公開して役立つようにするというのは、私は大臣として当然の役割じゃないかと思うんですが、これは大臣に伺っておきます。

蓮舫国務大臣 御指摘を今承りましたが、現段階において、確かに被災した地域の漁港の部分の復興に向けての努力は当然やらなければいけないんですが、同時に、さらに優先されることとして、被災された方々の生活再建支援、まだまだ避難所で生活をされている方々がおられますので、こちらも同時に今行っているところであります。

漁港の復興に関しては、津波の被害によりまして、瓦れき、あるいはまだ御遺体等も海の中にあるという事態でございまして、ここは今、関係省庁、関係機関において慎重に行動を行っている。その上で、衛星画像を活用して消費者に安心な魚介類が届けられるための整備を行っていくというのは一つの考え方だと思っています。

吉井委員 私が伺いましたのは、デジタルグローブ社の映像を見ているだけじゃなしに、日本は持っているんだから、公開するんですねということを聞いているんです。

それで、今、大体、東京電力の数値発表があっても政府の発表があっても、余り国民から信用されていないんですよ。やはり、毎日、消費者庁として食品の放射線測定値のデータを公表する。時々の瞬間値とともに、累積被曝線量、言ってみれば微分値と積分値に当たるようなものを公表してこそ、消費者がみずから判断して購入することができるようになるし、放射線問題についても信頼が得られるようになると思うんです。

そういう点では、私はやはり、消費者に信頼してもらえるようにするためには、まず消費者庁としても、これは消費者庁に直接ということにいかないと思いますから、国民生活センターとか各地の消費生活センターなどに、消費者の方が持ち込んでくる商品についてどれくらい放射線量があるのかとか、線量をはかる、測定できる体制がとられていて、それをどのように強化するのかということが今物すごく大事なときだと思うんです。

国民生活センターや各地の消費生活センターのそういう機能の強化というものは非常に大事だと思うんですが、大臣、どうですか。

蓮舫国務大臣 まずは、御指摘のモニタリングの放射性物質の分析は、現段階では、原子力安全委員会あるいは適切な政府機関において分析を行って、関係省庁と連携をとって、情報は公開、公表をさせていただいています。

その上で、委員御指摘のように、国民生活センターあるいは各地の消費生活センターでも食品に関する放射線量をしっかりと検査できる体制をとるというのが果たして今現実的かどうかというのは、率直な考え方でございます。

今、食品の放射性物質の検査、これは一義的には各都道府県において適切に対応しています。今後、消費生活センターから国民生活センターに食品の放射線量についての相談に伴った食品テストの依頼があった場合には、食品等の放射性物質を測定する機器をセンターは保有していません。現段階、仮にそういう相談があった場合には、外部の検査機関に依頼をしてテストをしていただくことになります。

今後どういうニーズがあるのか、もう少しちょっと、依頼も含めて検討させていただければと思います。

吉井委員 私、今聞いておって、もっと信頼を回復するように頑張ってほしいと思っているのに、外部委託というような話を聞いているとがっかりするんです。

班目委員長に伺っておきたいのは、要するに、土壌汚染にしても何にしても、風向、風速等によって、もともとの出るところの濃度とともにかかわってくるから、汚染地域と濃度というのは、そういう条件を入れてSPEEDIを使って情報を公開した例が、あれは三月二十三日の午後九時ぐらいでしたか、一回だけあるんですけれども、それは風向、風速によってずっと変わるわけですね、当たり前のことながら。

それで、どういう状況かということがわかることが、言ってみれば、汚染の微分値と積分値に相当するものを消費者が知ることができるんですね。また、そういうことを公開すれば、もっと信頼が高まってくると思うんですよ。危ないものであっても、事実は事実として受けとめるということが大事だと思うんです。そういう点では、SPEEDIの情報を直ちに毎日公開するということが大事だと思います。

大臣の方にも、外部委託という話は、とりあえず機械がなかったら仕方がないんですよ。それは僕もわかるんですよ。しかし、今大事なことは、こういうときに、群馬、茨城、千葉などの農家が被害を受け、消費者が野菜を食することとか水道水を飲むことも心配だというふうになっている中では、やはり毎日生鮮食品について放射能汚染調査をきちんとしてデータを公表し、生産者も消費者も安心できる消費生活環境をつくるということが物すごく大事なことだと思うんです。そういう点では、消費生活センターあるいは国民生活センターの商品テストとか、放射線量測定の機能の強化とか体制の強化、こういうときこそ強めなきゃいけないときだと思うんです。

これを班目委員長と大臣のお二人に伺っておきたいと思います。

班目参考人 まずSPEEDIの件でございますけれども、これは、放出源データといいますか、発電所の方がどうなっているかという情報がないと非常にあやふやなデータでございます。我々は逆算で求めてございますけれども、倍半分かあるいはそれ以上の誤差があるというものなので、これを日々公表するとかえって国民に混乱を与えるということで、ちょっと日々の公表は差し控えさせていただいております。

それからあと、いろいろなデータは安全委員会なりに集めさせていただいて、日々記者に対してブリーフィングを行う等の努力はしております。

蓮舫国務大臣 政府としては、原子力災害対策本部において、それぞれの省庁がそれぞれの所掌のでき得る限りのことを行って、一元的に管理をして、例えば消費者の私のところでは、放射性物質が厚生労働省で定めた暫定基準を超えたものは政府として出荷制限あるいは摂食制限等の措置をとりますので、その情報を適切に消費者に伝えていくという役割を担っています。

その上で、確かに国民生活センターあるいは各地の消費生活センターがもっと消費者の安全を増進するための役割があるのであれば、その体制は考えたいと思いますが、先生御案内だと思いますけれども、現段階でモニタリングの機器自体も足りなくなっている。今、これは追加発注もしなければいけない事態になっている。もっと言えば、分析機関さえも今は本当にフル稼働していただいておりますので、これまで以上に十分な情報を提供していきたいとは思いますけれども、今すぐ行えるかどうかも含めて、これはぜひ検討させていただければと思います。

吉井委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますけれども、まずSPEEDIについては、逆算でどうなっているという話じゃなくて、東京電力にきちんとデータを出させて、そして日々刻々、汚染がどういう地域に、あるいはどういうふうに縮小していっているかとか、やはりわかるようにするということが信頼回復への第一歩だというふうに思うわけです。

センターに機器がないとかいうお話は、今ないのが現実というのは、現実はわかるんですけれども、こういうときだからこそ、これは国民生活センターの廃止とかそういう議論もありますけれども、廃止なんかじゃなくて、やはり放射線量測定の機器を配備して体制を強化するとか、機能を弱体化じゃなくて体制を強化することこそ必要なときだ、このことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。



TOKYO—Crucial efforts to tame Japan's crippled nuclear plant were delayed by concerns over damaging valuable power assets and by initial passivity on the part of the government, people familiar with the situation said, offering new insight into the management of the crisis.

Meanwhile, a regulator who was inspecting the Fukushima Daiichi nuclear-power complex when the quake hit offered The Wall Street Journal one of the first eyewitness accounts of the havoc at the site, describing how the temblor took down all communications in the area, greatly complicating the response.
The plant's operator—Tokyo Electric Power Co., or Tepco—considered using seawater from the nearby coast to cool one of its six reactors at least as early as last Saturday morning, the day after the quake struck. But it didn't do so until that evening, after the prime minister ordered it following an explosion at the facility. Tepco didn't begin using seawater at other reactors until Sunday.

Tepco was reluctant to use seawater because it worried about hurting its long-term investment in the complex, say people involved with the efforts. Seawater, which can render a nuclear reactor permanently inoperable, now is at the center of efforts to keep the plant under control.

Tepco "hesitated because it tried to protect its assets," said Akira Omoto, a former Tepco executive and a member of the Japan Atomic Energy Commission, an official advisory body involved in the effort to tame the plant. Both Tepco and government officials had good reason not to use saltwater, Mr. Omoto added. Early on, nuclear fuel rods were still under cooling water and undamaged, he said, adding, "it's understandable because injecting seawater into the fuel vessel renders it unusable."
Tepco spokesman Hiro Hasegawa said the company, "taking the safety of the whole plant into consideration, was trying to judge the appropriate timing to use seawater." 


"This disaster is 60% man-made," said one government official. "They failed in their initial response. It's like Tepco dropped and lost a 100 yen coin while trying to pick up a 10 yen coin."

Government efforts also were plagued with delays. Japan's military, the Self-Defense Forces, didn't participate in cool-down efforts in a big way until Wednesday, after four of the six reactors had suffered damage and the remaining two showed signs of heating as well. A military spokesman said forces didn't move in because they weren't requested by Tepco. A Tepco spokesman declined to comment on the issue specifically, saying in general the company is in contact with the government.

Even a swifter response would have faced grave challenges. The quake and the tsunami cut off the plant from nearly all communications in the crucial early hours, an eyewitness told the Journal.
Kazuma Yokota, a safety inspector with Japan's Nuclear and Industrial Safety Agency, or NISA, was at the plant at the time. He ducked under a desk as the temblor struck with a force that cracked the walls, he recalled. He then moved to his monitoring office, a 15-minute drive away. "There was no power, no phone, no fax, no Internet," he said. He wasn't able to get a backup generator working until that night.
On Friday, NISA raised the severity ranking of the crisis to five on an international severity scale, from four, putting it at the same level as 1979's Three Mile Island incident in the U.S.
Government and Tepco officials reported only modest gains Friday in controlling the plant. They said they believed that fire trucks deployed on one troubled reactor managed to hit one pool of radioactive waste. It was unclear how effective the spraying was. National broadcaster NHK reported Saturday afternoon that the fire-truck spraying had resumed.

The officials said they believed they could restore power to some troubled units over the weekend, which could help cool them. Radiation levels at the site were stable, but still elevated.
International observers say delays and chaos are inevitable because the situation is unprecedented. Yukiya Amano, chief of the International Atomic Energy Agency, who arrived in Japan on Friday, said Three Mile Island also took time to understand. Still, Mr. Amano cited a lack of information from Tepco.

The March 11 earthquake disconnected the plant from the power grid, and the tsunami wiped out its backup generators.

Mr. Yokota, who heads the NISA office that monitors the plant, was conducting a quarterly safety inspection when the ground began rumbling, then shaking. File cabinets and computers toppled around him.

 

After the tsunami passed, he grabbed a taxi to the NISA office in neighboring Okuma, which doubled as an emergency-response center. The center was cut off from both NISA headquarters in Tokyo and the Fukushima Daiichi complex.
Word of trouble at the No. 1 reactor, the oldest of the plant's six, wasn't widely known until early Saturday morning, when its fuel rods began to heat—even though it had automatically shut down. At a 6 a.m. media briefing, a Tepco spokesman said seawater was one cooling option.
The temperature kept rising, producing hydrogen gas that caused an explosion at 3:36 p.m. Prime Minister Naoto Kan ordered seawater to be injected, which happened at 8:20 p.m.

By early Sunday, cooling functions at the No. 3 reactor were lost. Tepco tried to cool the reactor with fresh water, but it was forced to switch to seawater in the afternoon. It exploded Monday morning, likely damaging the containment structure and allowing radiation to leak.

Authorities apparently were unaware that water had stopped going into the cooling system of the No. 2 reactor. They began using seawater Monday evening, but the loss of its cooling system led to an explosion early Tuesday.
Mr. Yokota and other NISA staffers took doses of potassium iodide, which protects the thyroid gland from radiation. The emergency-response center had an alarm that sounded when radiation levels hit 100 microsieverts, prompting staffers to don face masks. By Wednesday, when the staff moved to a safer location farther away, the alarm was going off constantly, recalled Mr. Yokota.
Japan's Self-Defense forces showed up that day, though a spokesman said some of their personnel and equipment waited 15 miles away. "We have to wait for Tepco to come to us and request help," said Tetsuya Kono, a ministry of defense spokesman.

東日本大震災で被災した福島第1原発への緊急対応の遅れは、貴重な原発資産を損なうことへの懸念と、政府側の当初の受け身の姿勢が原因だったことを複数の消息筋が明らかにし、危機対応の内情が浮かび上がった。

一方、震災発生時に福島第1原発施設の点検にあたっていた規制当局者は、現場の大混乱に直面した目撃者証言の第一報を本紙に伝え、地震で現場周辺のすべての通信が遮断され、対応がきわめて困難になった震災当時の模様について語った。


同原発の事業者である東京電力(東電)は、少なくとも地震発生翌日の12日午前という早い段階に、6機の原子炉の1機を冷却するため、付近の海岸から海水を注入することを検討した。しかし、東電がそれを実行に移したのは、施設での爆発発生に伴い首相が海水注入を命じた後の、同日の夜になってからだった。ほかの原子炉では、東電は13日になるまで海水注入を開始しなかった。




事故対応に携わった複数の関係者によると、東電が海水注入を渋ったのは、原発施設への同社の長年の投資が無駄になるのを懸念したためだという。原子炉を恒久的に稼働不能にしてしまうおそれのある海水は、今では原発事故対応の柱となっている。
元東電役員で、今回の原発事故対応に加わっている公式諮問機関、日本原子力委員会の尾本彰委員は、東電が海水注入を「ためらったのは、資産を守ろうとしたため」だとしている。尾本氏によると、東電と政府関係者のどちらにも、塩水を使用したくない大きな理由があったという。当初、核燃料棒はまだ冷却水に漬かっていてダメージを受けておらず、同氏によると、「圧力容器に海水を注入すると、容器が二度と使えなくなるため、海水注入をためらったのも無理はない」という。
東京電力広報担当者は、東電が「施設全体の安全を考えて、適切な海水注入時期を見計らっていた」としている。
ある政府関係者は、「今回の原発災害は、6割方、人災だ。東電は初期対応を誤った。十円玉を拾おうとして百円玉を落としてしまったようなものだ」と述べている。
政府の対応も後手に回った。6機の原子炉の4機がすでに破損し、残りの2機もやはり過熱の兆候を示しだした16日になるまで、自衛隊は冷却活動に大々的に参加しなかった。防衛省広報官によると、自衛隊が出動しなかったのは、東電側から要請がなかったためだという。東電広報担当者は、原則として東電は政府と連絡をとっているとして、この点についての具体的なコメントは避けた。
たとえ一層迅速に対応していたとしても、難題は避けられそうになかった。現場に居合わせた目撃者が本紙に語ったところでは、地震と津波は、同原発のほぼすべての通信を早々に遮断したという。
原子力安全・保安院(NISA)福島第1原子力保安検査官事務所長の横田一磨氏は、地震発生当時、同原発にいた。壁にひびが入るほどの威力で地震が襲ったとき、同氏は机の下に身を隠した。その後、車で15分の距離にある保安検査官事務所に移動した。「電気も電話もファクスもインターネットもダメだった」という。非常用発電機が使えるようになったのは、その日の夜になってからだった。
NISAは18日、今回の原発事故の深刻度評価を、国際原子力事象評価尺度のレベル4から、1979年の米国スリーマイル島原発事故と同レベルの5へと引き上げた。
政府および東電関係者によると、原子炉冷却作業は18日、ほんのわずかな改善効果を示した。1機の被災原子炉に配備された消防車は放射性廃棄物のプール1つに何とか水を届かせることができた模様という。放水がどれほど効果を上げているかは不明だった。
東電関係者によると、週末には一部被災原子炉の電源を回復し、原子炉冷却の一助にできる見込みだという。現場での放射線レベルは安定しているものの、依然高いままだ。
海外の消息筋は、未曾有の事態ゆえ、遅れと混乱は致し方ないとしている。18日に日本に到着した国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は、スリーマイル島事故も事態を把握するまで時間がかかったと述べた。とはいえ、天野氏は東電からの情報提供不足を指摘した。
11日の地震は同原発を電力供給網から断絶し、一方、津波は非常用発電機を流し去った。
同原発を監視しているNISA福島第1原子力保安検査官事務所長の横田氏は、地鳴りがして地面が揺れ始めた際、同原発で四半期安全点検を実施している最中だった。書類棚やコンピューターが倒れ、あたりに散乱した。
津波が通り過ぎた後、横田氏はタクシーをつかまえて近郊の大熊町にあるNISA保安検査官事務所に急行した。ここは、原子力災害対策センターも兼ねている。同センターは、東京のNISA本院とも、福島第一原発施設とも、連絡が絶たれていた。
同原発の6機の原子炉のうち最も古い1号機の事故情報は、地震翌日の12日早朝まで広まらなかった。その時点には、1号機はすでに自動停止していたものの、燃料棒が過熱し始めていた。東電広報担当者は、同日午前6時の記者会見の席上、海水注入が原子炉冷却のための一選択肢だと述べた。
原子炉の温度が上昇し続けて水素ガスが発生し、同日午後3時36分に爆発を引き起こした。菅直人首相は海水の注入を命じ、これは午後8時20分に実施された。
13日の早朝までに、3号機の冷却機能が喪失した。東電は真水で3号機を冷却しようとしたが、午後には海水に切り替えざるを得なかった。翌14日午前、 3号機の建屋が爆発した。この結果、格納容器が損傷して放射能漏れが起きている公算が大きい。(訳注:16日夕方には、3号機の格納容器が損傷して放射能漏れが起きている可能性は低いという政府見解が示され、同日午前中の説明内容は修正されている)
当局者は、2号機の冷却システムへの注水が停止していたことに気付かなかったらしい。14日夜に海水注入が開始されたが、冷却機能喪失は15日早朝の爆発につながった。
横田氏とほかのNISA職員らは、放射能から甲状腺を守るヨウ化カリウムを服用した。災害対策センターでは、放射線レベルが100マイクロシーベルトに達するとアラームが鳴りフェイスマスク着用を職員に促すようになっていたが、横田氏によると、職員全員がさらに遠方の安全な場所まで避難した16日の時点には、アラームが鳴りっ放しだったという。
自衛隊は16日になって派遣された。ただし、防衛省広報官によると、一部の自衛隊員と機材は約24キロ離れた地点で待機中だという。防衛省広報官は、「東電が支援を要請してくるまでは、自衛隊出動を見合わせざるを得ない」と語った。(by WSJ)

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